ホイサレーシュワラ寺院

小堀遠州庭園の原点を見た

シヴァ神を祀るこの寺院では、洞窟のような部屋の中央にシヴァ神のリンガを表現した石を置いている。要はシヴァ神の男根が妻の体内に頭を出した情景表現だ。洞窟部屋を子宮、ひいては宇宙、生命を生み出す源の意味を持たせていた。ここカルナータカ州ヒンドゥー教寺院にて陰陽結合の究極表現を見学し、インドのあちこちにシヴァ神のリンガ表現がされていることを知った。小堀遠州の庭は艶っぽいと思っていたが、その理由が、シヴァ神のリンガ表現にあったことを今回のインド旅行で発見した。小堀遠州の庭を思い返して見た。南禅寺塔頭 金地院「鶴亀の庭園」は森のように茂った樹木と方丈で白砂面を取り囲こみ、庭の天井をポッカリと開けた洞窟部屋のような作りとなっている。天に向かってそそり立つ鶴石はリンガを模し、白砂面を取り囲んで作った空間と青空にて宇宙を表現し、方丈に座って見る庭は母親の胎内にいるような落ち着いた雰囲気となっていた。高梁市 頼久寺庭園では中心にそそり立つ石と大刈込とでリンガ表現を行っていた。甲賀市 大池寺の庭中心ではサツキの大刈込にて宝船を表現していたが、宝船がリンガ表現となっていた。人類は塔が好きだ。青空に突き刺すようにそびえ立つ塔はリンガ表現の一つかも知れない。日本庭園が庭園らしくなったのは浄土庭園以降だと思うが、浄土式庭園は池を森で囲み、池の水面から飛び出すように島を設けている。水面上の島はリンガ表現の一種だと思う。佛教寺院での説法では母親から生まれてきたことを強調することが多い。浄土式庭園の原点は母親の胎内を形象すること。そこに浄土思想を吹き込んだ。神社の鳥居が女性器の入口を、参道が膣を、本殿が子宮だと説明するブログがあった。日本人は性表現を美しく進化させる能力に長けている。庭にもリンガ石像が置かれ、信仰の対象となっていた。庭は大刈込と芝生からなる単純なもので、借景の丘陵、樹木、青空を楽しむものとなっていた。寺院の外は街と農場なので、手入れされた芝生面がある寺院は特別な場所に感じた。