旧大島邸(唐津市)

比較的単純な庭なので借景庭園だったと思うが、西300mにあった邸宅を現在地に復元した際に、邸宅の向きを調整したように見え、周囲の住宅などで借景を失っている。庭の特徴は木々の幹が真っすぐに育っていること。スギ、イヌマキは真っすぐな幹を持つが、マツ、サクラ、カエデ、キンモクセイなども真っすぐな幹となっている。手洗い石鉢も縦の直線が強調され、自然石の傘を持つ雪見灯篭ですら縦方向が強調されている。築山上の庭石も真っすぐに立っているものが多い。飛び石が平面を強調しているので、樹木、石灯籠、石鉢、庭石の縦方向の線が目立つ。人も素直に真っすぐ育つべきだと説得して来るかのような庭だ。縦の直線を強調した庭なので、もし築山が低く、なだらかであれば風が木々の間を吹き抜ける風を意識させる庭になるが、3つの築山が古墳形状となっているせいか、風が地表を吹き抜ける雰囲気はなく、樹木や草花を楽しむ広い家庭庭園になっている面がある。築山を高くしたのは近隣住宅の目隠しのためと、築山と築山の間に借景山を見せ、三尊山のような構図とし茶庭が山に続く、山奥の雰囲気を出すためだったのだと思った。借景を失い、庭の雰囲気が大きく変わった結果、風を感じない、縦方向のみが強調される庭になったようだ。マンガ日本昔話の世界を画いたようにも見えてしまう。或いは夢の中の世界を画いているかのようでもある。人は子供の頃に楽しめたことを趣味にして心を癒すが、富豪は庭に子供の頃に遊んだ風景を再現していることが多い。この庭を作ったと思う大島小太郎は子供の頃に走り回った山の中を懐かしみ築山を作ったのではないかとも想像した。そのような心を癒す雰囲気は残っている。


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