岐阜城

織田信長の躍進(3)

天守は濃尾平野を見下ろす稲葉山(金華山)頂上にある。西の伊吹山、西北の能郷白山(能郷白山神社奥之院)、東北の北アルプス(穂高神社嶺宮)、御嶽山(御嶽神社頂上奥社)、東の恵那山(恵那神社奥宮本社)が直接遥拝できる。清洲城(模擬天守)、小牧城天守もこれら聖山を直接遥拝できるが、岐阜城はより高く、聖山に近いので神々しい。聖山に祈りを捧げる天守付近に織田信長が住むことで、天守で神と一体となった信長を表現し、濃尾平野の住人、濃尾平野を通過する人々に仰がせた。天守は信長を神格化させ、人々を従わせるためのもので、天守は神となった信長そのものだ。グーグル地図に線を引いて見た。(浜松)秋葉本宮秋葉神社本殿と(岐阜船来山古墳群)船来山頂上西南約36m地点を結ぶA 線上に天守があり、天守もA線に沿って建てられている。天守内からA線方向を眺めることはそれぞれの聖地を遥拝し神の通り道を見つめることになる。秋葉本宮秋葉神社は火防信仰、船子山古墳は東海地方最大の古墳群なので、火防の神と地元の神々に守ってもらうことを祈念してのことだろう。岐阜城天守の東北約1.5㎞地点の日吉神社と熊野本宮大社大斎原を結んだB線は(玉置山)玉置神社境内-(岐阜城)天守を通過した。熊野本宮大社大斎原は広く、日吉神社は天守近くにあるので、熊野本宮大社、玉置神社、玉石社、日吉神社に住む神々の往来通り道B線上に天守がある。熊野本宮はスサノオ神を祀り、玉石社は修験道の象徴なので、強い神佛に守られている。A線とB線の交叉点に天守を建てている。天守は小牧山城天守と同じく熊野那智大社を遥拝している。その反対方向には遥拝先を持たない。岩盤山に作られた岐阜城の井戸水は地下水脈でなく、長良川から運び上げた水を貯めた大きな水筒のようなもの。家康が関ケ原の戦いで落城させた翌年に廃城したのは籠城できない、火災に弱い、維持コストがかかる、連敗城だったからではないだろうか。多数の神の通り道が金華山を通過し、A線、B線が天守を通過するが、信長は聖なる祈りの城とする気が無く、自らの権力や権威を示すために使った。これらから信長には平和な時代を見据え、平和を祈る恒久的な城を作る意図がなかったことが判る。庭の一部が復元されている。天守が信長自身を表現していたように、庭も冷酷、冷徹に天下布武を推し進める信長自身を表現していた。3000万年ほどの年月をかけ、赤道あたりで出来上がったチャート岩石層が地球の自転でこの地まで移動し、U字型隆起により横方向に積層していたチャート岩石層が略垂直方向にそそり立っている。その岩盤を利用し、岩石層に沿うように人口瀧を2条添え、池を掘り庭とした(池は復元されていない)。本来横になっている岩石層がそそり立つ奇観に瀧と池を添えただけだが、底知れぬ凄味を感じる。本来、横になっている岩石層を力ずくで立て、そこに無理やり水を流し瀧としたように見えるので、信長の持つ底知れぬ力と重なり合う。整った庭なので一見すれば「37風火家人(ふうかかじん)家を正す」家を正しくすれば天下が治まる。女が正しく家を守れば、男は外で正しい行動ができることを表現しているが、常識外れの信長が作った庭なので、寒気を感じさせる恐ろしさが迫ってくる。信長の行動は恐ろしいが、結果は爽やかで整っていることを表現したかのようだ。弧を画く石垣の庭は反響効果を考えた石垣、石垣の上に崖のような山裾、石垣の裾の池からなる。固い岩盤山に土が覆いかぶさり樹木が育っているので、崩れることはないが、視覚的に山崩れが起きそうな勢いがある。急斜面を石垣で止めているような危うさを見せる庭だ。「油断するな、気を張れ、即応体制か」と訴えているようだ。この庭を前にして信長がかん高い声を出すと、円弧の石垣、水面、急斜面に声が反響し、聞く者の心に言葉が突き刺ささったことだろう。川の流れを表現した石敷の庭は流れて来た池の水、屋根の雨水を地下に浸透させるための庭、半島状にせり出た多くの岩盤を見せている。岩盤は白っぽく、ゾットするような清涼感がある。月夜はこの白い岩盤が闇の中に浮き上がり髑髏の白さを連想させることだろう。信長が多くの人を殺したことを連想させる死を表現した庭だ。現代の常識で推し量れない戦国時代を織田信長は爽やかに駆け抜けた。冷酷で残酷な騙し討ち、大量殺人、小さな罪を犯しても簡単に処刑、聖職者の処刑など人々を恐怖に落としこむことで政治目標を達成させた。これは明朝の皇帝と同じやり方だが、日本においては戦国時代以外に通用するやり方ではない。信長の恐ろしさを庭からも感じる。


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