りんくう公園

沖の関西空港に離発着する旅客機を楽しむ公園だが、関西空港は水平線ほど離れ、臨空というより、臨海と呼ぶのがふさわしいような、和泉山脈、友ヶ島、淡路島、六甲山及びそれらに囲まれた大阪湾を取り込んだ借景公園になっている。公園はマーブルビーチを中心としたシーサイド緑地と、内海を中心としたシンボル緑地に分かれ、海に沿った遊歩道が二つの緑地を結んでいる。りんくう公園と関西空港の間は波立つ良好な漁場で大自然そのもの、遊歩道から関西空港を望む風景は高い地から澤を望む易経「19地澤臨」そのものだ。臨がつく熟語はビジネスマンにとって恐怖を感じさせる。身分の高い人が来臨され臨席された。臨時上司が君臨し、臨監され、臨戦態勢で仕事に臨まれたので、臨機応変に対応し、臨時措置を講じたが、上司は納得せず、根本的な改革改善を始められた。国の機関に臨検されたなど心落ち着かない熟語が多い。臨がつく熟語が意味する難関を乗り越えるには相当な実力が無ければならない。臨監、臨戦、臨視、臨検、臨席、臨御、臨幸、君臨する者は実力なければ目的が果たせない。そして臨場した現場にて自らの位に相当した行動を取れなかった臨視者は致命的な損傷を受けてしまう。臨海において、人は大自然の海を上から観察することになる。海面水流、海中の水流、風、海水温、海中に生息する獰猛な魚、海草状況を観察せず、いきなり海に飛び込めば、たちどころに危険に遭遇してしまう。この自然風景は臨視現場には多くの秘密が隠されているので、臨視者は秘密を読み解いた上で行動を起こさなければならないことを諭している。易経は「臨事而惧」物事に臨んだ時は、用心深く注意すべきだと教え、「有事而後可大,故受之以臨」臨視者の行為を受けてこそ、偉大なことが成される。よって臨まれたことを畏敬の念を持って受け止めなければならない。状況や物事を変えることができるのは臨視者だけだと教え、「元亨利貞,至于八月有凶」臨視者が現場に行き、改善することで良い方向に向かうが、臨の卦が示す旧暦12月、大寒から立春の間に育ち始めた植物が、旧暦8月の実がなる秋分から寒露の間に、その結果が出る。臨視者が指導すれば春たけなわのように良い雰囲気で改善が進むが、改革改善内容や、改善行為が適当でなければ、収穫段階で凶となる結果を迎えてしまうと警告している。組織トップは臨視する役割を持たされているが、臨視することは下の者がトップを身近で注意深く観察することでもあり、現場にてトップが指摘すれば、たちどころに現場の人たちはトップに教化されてしまい、容易に現場の習慣を変えることができ、現場改革につなげることができると教えている。「19地澤臨」の裏卦で、地澤臨に続く「20風地観」は愛を持って観察することを示す卦なので、地澤臨の本質は愛を持って下の者を観察すること、下の者は愛をもって上の者を観察することであり、上下の者がお互い立ち止まり、愛の心で交流することで意思疎通が図られ、改革改善に乗り出せることを示している。何よりもトップが臨視しないことには改革を含む何事もスタートしない。大きな琵琶湖に面した庭で、現時点で美しい庭は、居初氏庭園(天然図画亭庭園)、びわ湖大津館イングリッシュガーデンしかない。海に面する美しい庭も数えるほどしか無い。そのように臨湖、臨海庭園は作庭が難しい。りくうん公園は臨海を前面に出す手法で、海を上手に公園に取り込み、シンプルに美しく仕上げられている。