フランス積の赤レンガ造りの門手前、大木に育ったクスノキが威厳を放っている。壁塀は赤レンガだけではなく三和土(たたき)技法を用いて作ったブロックもある。新技術や新文化を創設しようとする意欲に満ちた邸宅だ。赤松則良公の銅像が欧州風庭園の雰囲気を盛り立てている。部屋の雰囲気を持った庭の中から自然風景を画いた庭を鑑賞する欧州庭園の技法をうまく取り入れている。日々の芝手入れ、庭掃除が行き届いているので美しい。沼池部分はまるで印象派の絵画を鑑賞しているかのようだ。欧州庭園のように花木が多いだけでなく、栗、アンズ、柿、ザクロなど実のなる樹木を育てているので楽しみが多い。欧州庭園と同じく平地庭で、広場を大きく取り、庭周囲に背の高い樹木を育てプライベート空間を作り、広い空を見せている。庭の持ち主がくつろげることを第一に考えている。サルスベリ、ユリが花を咲かせている。ツワブキ、ツバキを多く植え冬の庭が殺風景とならない工夫もされている。意匠はリズムに溢れている。重厚感あふれる封建時代の日本庭園とは異なり、軽やかな空気を流し、会話を軽やかに弾ませる雰囲気を作っている。異文化導入に成功した創作庭園だと思った。