秋篠寺

美天女、伎芸天の像で有名な秋篠寺、伽藍跡の平らな地面に多くの種類の樹木を育て森にしている。梢からこぼれ落ちた太陽光が苔面を美しく輝かせている。古木が多いからなのか、樹木の背が高く苔面まで光が十分に届かないからか、樹木品種が多いからなのか、人工林でなく、森の様相となっている。ヒノキ、モッコク、モチノキ、サザンカ、ツバキ、トベラ、クチナシ、アオキ、一枚葉のサイハイラン?いくつかの樹木名しか判読できないことが、庭の奥行きの深さ、別次元の世界を感じさせる。この森に多くの神々、霊が宿っているように感じてしまう。それによるものか、或いは新緑に映える白い花だからか、クチナシの花咲く季節に拝観した時、美しい森が更に美しく感じた。熊野本宮大社大斎原中心と(福井)若狭国一之宮若狭彦神社上社を結ぶ神の通り道(A線)は日本一強力なスサノオ神の通り道だと思うが、線は八坂神社西楼の西10m-泉涌寺即成院-法音院-伏見稲荷東側の山林-伏見城二ノ丸跡-秋篠寺十三社-郡山城西御門跡を通過する。スサノオの子孫、オオクニヌシを祀る出雲大社御本殿と(伊勢市)月夜見宮本殿を結ぶ神の通り道(B線)は四條畷神社境内-秋篠寺別院境内-佐紀瓢箪山古墳-コナベ古墳-ウワナベ古墳-東大寺三月堂-春日山原始林を通過する。出雲大社御本殿と(伊勢市)倭姫宮を結ぶ神の通り道(C線)は秋篠寺に隣接する八所御霊神社の西南端から数メートル地点-佐紀石塚山古墳拝所-佐紀陵山古墳-市庭古墳(平城天皇 楊梅陵)-東大寺鏡池-春日山原始林を通過する。出雲大社御本殿と東大寺大仏殿を結ぶ神佛の通り道(D線)は秋篠寺本殿-佐紀石塚山古墳-佐紀瓢箪山古墳-コナベ古墳-東大寺大仏池を通過する。上記A線とD線は本堂で交差している。この地は北に寺社仏閣が集中する京都を、南に大和三山、藤原宮跡、飛鳥、熊野三山を、東に佐紀盾列古墳群を、西に神体山の吉備の中山があり、多くの神佛の交差点となっている。秋篠寺の南隣は主に非業の死を遂げた方々を祀る八所御霊神社。樹木で覆われた平面の苔庭は正に八所御霊神社の鎮守の森、自然崇拝の地となっている。品種が少ない人工林とは違い多品種の森で、地面が美しい苔で覆われているせいか、或いは多くの神佛の通り道の交差点となっているせいか、霊気にあふれている。この庭に築山はなく、鎮守の森なので借景山もない。奥深い森、背高い樹木を見上げると、梢の間からわずかに青空と雲が見える。古井戸があるので地下水が流れていることを感じさせられる。苔面が十分な水分を含んだ地であることを表現している。一見、謙虚でおとなしいが、日本統一事業を完成させ、古墳文化を生み出し、仏教を国教とし、自然崇拝を神社崇拝に切り替え、律令制度つまり官僚制度を導入し、封建国家を完成させた奈良の歴史に蓋をし、奈良を自然崇拝の聖地に戻した役割を担っているようなところがある。目に見えない地下水脈を意識させているので、とてつもないエネルギーを隠している。風が幹と幹との間を通り抜けているので、変化が起きることを感じさせる。天地創造を表現した庭はまもなく日本変革の大波がやって来ることを予感させ、南隣りの怨霊を祀る八所御霊神社と、800mほど東北東の神功皇后陵がその予感に拍車をかける。