長浜八幡宮

本殿・拝殿は北に(長浜市)木之本地蔵院、南に(三重県多気郡)八幡神社跡、東に伊吹山頂日本武尊像、西に(福岡市)香椎宮を遥拝している。木之本地蔵院は1350年の歴史あり、八幡神社跡付近には塚山古墳群、斎宮後があり、大きな伊吹山は日本武尊の象徴、香椎宮は仲哀天皇・神功皇后の神霊を祀る仲哀天皇崩御の地である。四方の遥拝先は日本の歴史を作った祖先に思いが馳せられるものになっている。拝殿の西約60m、伊吹山頂日本武尊像と香椎宮(かしいぐう)を結ぶ神の通り道に包まれるように放生池と中之島からなる庭があり、中之島には都久夫須麻神社の社殿がある。池の周りの護岸石は頭が平たい神の着座石となっていて、それらの石々に着座した神々が、都久夫須麻神社の社殿を取り囲み拝しているように作られている。つまり、池は琵琶湖、中之島は竹生島を模したもので、琵琶湖周囲の神社仏閣などの聖地が竹生島の都久夫須麻神社を拝していることを表現し、琵琶湖輸送の無事安泰を祈願している。中之島の社殿前、向かって右側に光を反射する立石、左側に剣(つるぎ)のように先端が尖った石を立て、中之島に渡る石橋の表面を平にし、社殿に神が降りて来ているように見せている。中之島の護岸石に頭が平たい石はそれほど多くなく、亀頭のように飛び出す石、人物のような石を混ぜ、中之島全体を温もりあるものにしている。中之島の背後、池の外側には伊吹山からの神水が湧き上がっており、日本武尊の権現山である伊吹山とのつながりを感じさせる。池の周りを松が取り囲み、中之島にも松が育つ。本来は庭の中から松と松の幹の間に伊吹山を見せ、伊吹山を直接遥拝させ、伊吹山からの吹きおろしにて風と共に神が通過していることを感じさせる庭であったのに、現在、庭東側に建造物を設け庭の中から伊吹山が見えなくし、風の通りを遮っているのが残念だ。