西福寺(敦賀市)

山と山の間から湧き出した水が渓流、瀧を通し池に流れ込んでいる。池は瓢箪のような形で、裾は四修廊下の下にある。瀧の傍ら、瓢箪のようにくびれたところに黒い大きな石を3段重ね積みし作った石橋があり、石橋を境に、庭に向かって右側に入水往生を現した黒石群、向かって左側に菩薩の来迎を表現した築山がある。来迎を表現した築山手前には細長い小川のように見せる池が瓢箪型の池につながっていて、築山を貴い世界に見せている。水の湧き出し部分は大きな石で囲み聖水と見せている。その背後にはシダの群生があり清水を印象付けている。渓流の片側は山とそれに続く入水表現をした黒石群、片側は明るい芝生面とそれに続く菩薩の来迎表現した築山。庭の左右で陰陽表現がされている。築山上には石灯籠が2本立てられ、天空の天と石灯籠の火にて「志を同じくする」を見せている。御影堂側に真っすぐ立った細いマツがあるが、福井の厳しい天候のせいで龍を表現しているのかどうかが判らなくなっている。庭を分析するためグーグル地図で各建屋の遥拝先を調べた。阿弥陀堂は約58㎞南の日牟禮八幡宮、約76㎞西の籠神社奥宮 眞名井神社本殿を遥拝している。庭に面する書院は約82㎞南の甲賀、広徳寺、約76㎞西の籠神社本殿を遥拝している。グーグル航空地図上の御影堂が歪んでいるので遥拝先が特定できないが、御影堂から南に伸びる参道と三門は51㎞南の沖島、奥津嶋神社を遥拝している。三門は約304km西の出雲大社本殿を遥拝している。織田家発祥の地、劔神社本殿と宇陀市、八咫烏神社本殿を結ぶ神の通り道は御影堂の東南側の舎利如来堂を通過する。このように当寺の遥拝線の大半が神社、そして神の通り道がある。寺の説明書に「雲(四修廊下)の上を歩いているうちに見えるのは25菩薩の来迎を現した庭園」と説明されている。築山上に小さいながら尊さと気品あふれる石が多数置かれているが、本寺の各建屋が由緒ある神社を遥拝し、神の通り道の下にあるので石々が神々しくなったのだと思う。御影堂近くの庭池には多くの黒い衣をまとった僧侶の形をした大きな石が置かれているが、これは法然上人と弟子達、或いは浄土宗の高僧達が入水往生行をする姿、覚悟を持ち念仏を唱えている。湧き水の石組み背後はシダで覆われ、太陽光を受けたシダの群生が美しく輝き、聖なる雰囲気を出している。菩薩の来迎表現した築山はカラフルで美しい。阿弥陀佛の来迎を願う高僧を模した黒い石が浄土に向かって一心に念仏を唱えている。この庭が一番美しくなるのは水音が良く通り、空気が澄む厳冬期だと思った。